Mar.
18
2010
Stories That Didn't Hit The Page / Comfort For Change
Stories That Didn't Hit The Page / Comfort For Change
ポストハードコアバンドComfort For Changeの1st.フルアルバム。
"無骨な展開"と"流麗なメロディー"の絶妙な塩梅で味のあるサウンドを展開しています。
05年結成、今作が処女作ながらTriple Visionからの国内デビューやVo.リチャード・カーライズがCage9の元Dr.の実弟という触れ込みもあり、ここ日本では発売前から話題に上る機会も少なくなかったバンドです。
ヘビーロックをベースとした荒々しい展開にニューメタル・グランジといった退廃的な感触を含ませたスタイルを持っており、ありのままの勢いをぶつけるかの様な力強い進行で一連の展開にダイナミックさをあしらっています。
一方で流麗なメロディーラインや要所に咆哮を設けたボーカルパートによってオルタナ・ネオスクリーモに通ずる感触を含ませており、耳馴染みの良いメロディーとここぞの激情による対比はForever Midnight Sun・初期A Static Lullaby・The Usedらとの相似性も感じさせます。
これら"無骨さと流麗さの共存"を特徴としたスタイルは今や然程珍しいものではありませんが、彼らのサウンドには爆音や重低音による"後付けの無骨さ"ではなく一発録りのような荒さに似た"生の無骨さ"が感じられ、処々に残る野暮ったさが却って味として楽曲に生きているとも感じます。
編集・加工技術の向上による恩恵を受けている近年の音楽作品と比べると本作は決してプロダクトが行き届いた作品とは言えないものの、彼らが今作で描出するいい意味で大味な感触は現代のカッチリと組み立てられた音楽には無い人間味にも似た魅力を湛えています。
荒ぶる進行に反してメロディーがすこぶるキャッチーな「Knife's Capade」、
変則的なアレンジと緩急を捉えた転換が効いた「Open Your Eyes」、
モダンなメロディー上に仄かに醸す古臭さが妙味ある「Comfort For Change」、
迫力抜群の激情に邦エモコアに通ずるメロディーメイクが堪らない「My Statement」、
チープなスネア音も彼らに掛かれば味わいすら醸す「Start It Over」、
小気味良いミュートバッキングと出色のエモいメロディーが素晴らしい佳曲「.214」、
ひたむきなタイトさと突き抜けたサビがガッツものの「Remedy」、
音調のズレやリズムのムラが何故か楽曲に勢いを感じさせる「Sentimental Blood」、
ハードなアプローチで浮き足立たないポップさを描出する「Blank Pages」、
混合拍子を取り入れたプログレッシブなメロが印象的な「Spite」など全15曲収録。
近年はデビュー作から均整の取れた作品を創出するバンドが増える傾向にあり、創生期ならではの"野暮ったさ"や"荒さ"といった要素が持ち味として生かされることも少なくなったと感じます。
"少々ボロがある作品"より"完成され尽くした作品"の方が世間的評価が高いという事由は分からんでも無いですが、彼らのような洗練されすぎていない音を掻き鳴らすバンドが"稀少"とされる風潮には何か物足りなさを感じざるを得ません。
Released : 2008/09/13
Label : Unsigned
Origin : US - Arizona, Phoenix
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